無角和種は、好き嫌いをあまりせずに、さまざまな草を食べ、時には食べ過ぎてしまうのが特徴です。
かつては農業のお手伝いとして、機械をひいたり、草刈りで活躍していました。
そんな歴史背景を持つ無角和種。
現代の阿武町でも、そんなかつての風景の再現を感じさせる、放牧を実施中の地区があります。
以前国道沿いの放牧地もご紹介しましたが、今回は別の放牧地のご紹介です。
↓以前の記事はこちら。
国道沿いに放牧
無角和種繁殖センターのある、阿武町福賀地区の金社(かなこそ)。
ここに、10月まで4頭の無角が放牧されています。
奥に見える丘のようになっているところが、放牧地。
ここは元々、飼料作物を育てる水田エリアだったようです。
昔大雨があった時に、この水田の命であった水路が潰れ、水田としての力を失ってしまったこと。
勾配が厳しく狭くて作業がしづらいこと。
これらが理由で、休耕田となっていたこの場所。
ここを管理しているのは、無角の飼料(稲WCSや稲藁)を生産してくれている農事組合法人『あぶの郷』さんです。
休耕田となってからは、草刈りを定期的に人間がするのも大変、せっかく無角が近くにいるならとのことで、『あぶの郷』さんでは放牧を取り入れて管理しています。
暑い日には、このように水場で涼んでいる姿を目にすることができます。
この放牧地は、山のそばにあり、影ができやすいのも特徴で、牛たちは涼しく過ごすことができます。
また、そばにある山は火山活動でできたものなので、そこへ降った雨が地下へしっかりと染み込んだ後、綺麗な冷たい山からの水となってふもとである放牧地に出てきます。
これを牛たちは好きなだけ飲み、草を食んで過ごしているのです。
このように、人間が場所を整え、牛たちにとって快適な環境で過ごしてもらうことで、牛ができることは牛にやってもらい、人間ができることは人間がやるというふうに、協力しあって里山の美しい景色を守っています。
近所には、散歩コースとして放牧場の隣を歩き、牛を見にくる人もいるそうですよ。
かつての阿武町では当たり前だった、牛と人が関わり合って作り上げる景色。
この景色を絶やさないためにも、無角和種を守っていきたい。
そのためにも、この取り組みの価値や可能性を伝えていきたいので、引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。
○無角和牛の放牧地
住所:山口県阿武郡阿武町福田下付近
(ABUキャンプフィールドのオプションメニューである『無角和種堪能ツアー』にお申し込みいただき、ご希望であればご案内いたします)
無角和種堪能ツアー